2003年
常総学院対東北、12安打4失点で涙の準優勝
東北のエース、ダルビッシュ有(2年)が壮絶に散った。決勝で常総学院に12安打を浴び、4失点。8回に自らの暴投、ボークに、味方の失策も加わって、4点目を奪われた。あとは気力だけで抑えた。「最後ぐらいは、最後(の回)まで投げたかったから」。痛みを隠しながらの124球だった。
194センチの体は限界だった。腰痛が回復したと思えば、今度は右足すねの骨膜炎。準決勝を休養したとはいえ、完治しているはずがなかった。最速142キロと速球は伸びず、変化球も制球が甘かった。ベンチに戻るたび、若生正広監督(52)から体の状態を聞かれた。最終回まで「大丈夫です」としか言わなかった。
3回戦の平安戦では、服部との壮絶な投手戦を制した。延長11回を15奪三振の完封。全国の舞台で初めて「超高校級」ぶりを披露した。ただ、この試合を境に、口数が極端に少なくなった。常に大人数の報道陣に囲まれ、人気とともに重圧も増していった。それを精神力で抑え込んだ。試合を重ねるごとに、エースの責任感を備えていった。
大阪在住の両親は、息子の成長した姿をまぶし気に見ていた。父ファルサさん(42)は「あきらめずに投げた。褒めてやりたい」。母郁代さん(44)も「次も(甲子園へ)来てくれると思う」と来年に期待した。
グラウンドを去るとき、3年生全員にあいさつした。片岡主将から「お前が東北に来てくれてよかった」と声を掛けられると、さすがの怪物も、あふれ出る涙をこらえ切れなかった。
(03年8月24日付、日刊スポーツ紙面から)