2004年
高校最後の夏、終わる
昨夏準優勝の東北(宮城)が初出場の千葉経大付に延長10回、1-3で敗れた。頼みのダルビッシュ有投手(3年)が終盤つかまり、守備の乱れもあって9回に追い付かれ、10回に勝ち越しを許した。強力打線も沈黙し、内野ゴロで挙げた1点どまり。過去最強メンバーで大旗の白河の関越えを狙ったが、まさかの敗退となった。
最後の夏も、主役にはなりきれなかった。ベンチ前で相手の校歌を聞くダルビッシュのほおを、雨が涙のように伝った。それでも、ときには笑顔を見せて、気丈に振る舞った。10回裏2死に回ってきた第4打席、2ストライクに追い込まれても、笑顔を見せた。だが、見逃し三振で最後の打者となると、さすがに打席でぼう然と立ち尽くした。
勝利は目前だった。1点リードの9回表2死三塁から三ゴロに打ち取った。3試合連続完封達成かと思われた瞬間、横田崇幸三塁手(3年)がファンブル。一塁への送球も暴投となり、同点に追い付かれた。しかし、ダルビッシュは「エラーはだれにでもあること。仕方ないです」と仲間をかばった。続けて「こんな頼りないキャプテンに付いてきてくれて、みんなにありがとうと言いたい」とはっきり答えた。
試合後は「甲子園は人間として成長させてくれた」と話し、チームメートたちに肩を抱かれた。「最後は笑って終わりたかった」と昨夏の悔し涙は繰り返さなかった。土も持ち帰らなかった。進路については「今後決めます」と話した。怪物伝説は、夢の途中で終わりを告げた。
(04年8月17日付、日刊スポーツ紙面から)