2005年
怪腕ベールを脱ぐ!イースタンでプロ初登板
やっぱり、ただのルーキーじゃなかった。日本ハムのダルビッシュ有投手(18)が、仰天の“プロデビュー”を飾った。5日のイースタン・インボイス戦で7回から3番手で登板。2回を投げ被安打3の2失点(自責点0)。最速は147キロにとどまったが、2三振は狙って奪取。直球待ちを読みながら、直球勝負に挑むなど、2181人観衆の前で大胆投球を披露した。出遅れの要因となった右ひざ関節炎も癒え、ローテの定まらない1軍先発陣の救世主となるべく、大きな1歩を踏み出した。
余裕があった。笑みすらこぼれた。初めてのプロのマウンドを、ダルビッシュは楽しんでいた。「緊張はしないですね、全然」。言葉や態度だけじゃなかった。昨年10月の国体以来となる実戦。常人なら不安も感じるはずの中、プロの先輩たち相手に駆け引きすら見せた。
7回2死一、二塁のピンチ。宮崎を2ストライクと追い込んだところで、捕手山田勝のサインに首を振った。18年目のベテランが要求する直球ではなく、最も自信のある落差の大きいシンカーで勝負した。「三振を狙ってた? あそこはそうですね」。思い通りに奪ったプロ初奪三振。3度首を振られた山田勝を「彼独特の腕のしなりを生かした、あんなシンカーを投げる上手投げの投手は見たことないよ。あれはいい球だった」と力で納得させた。
野田の適時二塁打で2点を失った場面も、意に介していなかった。「前の打席は直球で抑えてたんで。打たれるかなと思ったけど、直球を試しました」と口にした。相手の狙いを読みながらの真っ向勝負。「やっぱり打たれましたね。もう少し変化球を投げれば大丈夫だったんですけど」と不敵に言い放った。
右ひざ関節炎で出遅れ、喫煙発覚の不祥事も重なり、ここまでデビューが遅れた。「まだ感覚が戻っていない。今日は60、70点」と言うが、持ち味の“強さ”を発揮。最速147キロをマークし、変化球も切れた。「実戦から離れていたから。140キロも出ないと思っていたので。それにしては良かったと思います」。完全復活へ、手応えはつかんだ。
チームにとっても朗報となった。開幕当初の先発陣からミラバル、トーマスが離脱。代わって入ったナイトも結果が出せずと、苦しい状況が続く。そんな中での堂々デビュー。14日湘南戦にも予定される次回登板からは先発起用が決定と、青写真は着々と描かれている。高田GMは「100球を2、3回投げられれば、昇格させることになる。夏ごろまで待つ余裕があるかな。すべてが順調にいけば、1カ月後にあるかもしれない」と言った。交流戦での秘密兵器になる可能性すら出てきた。
謹慎中に書き始めた日誌は今も続けている。「その日あったことを書いてます」。5月5日の欄に描いた33球の軌跡。ダルビッシュのプロ生活が、ようやく本格的に始まった。
(05年5月6日付、日刊スポーツ紙面北海道版から)