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中田翔特集



中3シニア選抜に出場!準優勝でMVP

<連載『怪物』北へ(4)>

 広島鯉城シニアの国吉事務局長は「いろんなことを経験させたかった」と中田を全国各地に連れて行った。関西遠征では奈良でシカと戯れた。「白い恋人にハマった」という北海道遠征。神宮球場や岩国の米軍基地でもプレーした。ハイライトは中学3年の夏だ。シニアリーグの全日本選抜に選ばれ、全米選手権の出場が決まった。

 会場地は米国中部のイリノイ州クリスタルレイク。「めちゃくちゃ田舎だった。アメリカの選手はすごかった。半端じゃなく飛ばすヤツ、自分より速い球を投げるヤツがいた。僕も少しはアピールしましたけどね」。

 この言葉には謙遜(けんそん)も含まれている。中田は投げては5勝を挙げ、主砲として4本塁打。チームを準優勝に導き、堂々のMVPに輝いた。大会後にはご褒美があった。州最大の都市シカゴに行き、米大リーグのカブス戦を観戦。1人のスラッガーにくぎ付けになる。

 サミー・ソーサだ。カブスに在籍した最後の年で翌年にはシカゴを離れる。そのパワフルなフリー打撃を夢中で見た。「エゲツない。めっちゃ飛ばす」。スタンドに流れる音楽や観客の拍手の音。メジャーの雰囲気に魅了された。ここでは「ヒマワリの種」にハマった。殻ごと口に入れ、舌を巧みに使って、中身だけ食べる。殻はペッと外にはき捨てる。難しいテクニックがいるが中田は簡単にマスターした。「日本じゃ、なかなか手に入らない」。今も、あの塩辛い味が忘れられない。

 「ヒマワリの種」に見られるように、どこでも順応するのが、怪物の得意技の1つだ。高校ではすぐにナニワの文化に興味を持った。すなわち、お笑い。好きな漫才コンビはブラックマヨネーズやタカアンドトシで、典型的なボケとツッコミを好む。「僕はどちらかというと、ボケ役」。ごつい男がボケるから、笑いは簡単に取れるらしい。女房役の捕手岡田雅利は「おいしいところを持っていくから悔しい」とジェラシー? ちなみに筆者は、中田の打撃に「欧米か!」と心の中でツッコミを入れていた。

 米国でも怪物ぶりを発揮した中田はいよいよ活躍の場を高校野球に移す。どのユニホームに袖を通すのか。それは中学野球界の最大の関心事だった。

[2007年10月4日 紙面から]



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