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日本ハムのルーキー武田勝が初登板初白星

プロ初登板初勝利を飾った日本ハム武田勝はウイニングボールを掲げガッツポーズ
プロ初登板初勝利を飾った日本ハム武田勝はウイニングボールを掲げガッツポーズ

<日本ハム5-2楽天>◇26日◇札幌ドーム

 野村監督、感謝してます。日本ハムの大学・社会人ドラフト4巡目の武田勝投手(27=シダックス)が初登板で初白星を挙げた。3回途中からマウンドに上がり、3回1/3を被安打1、無失点に抑える完ぺきな内容。社会人シダックス時代の恩師、楽天野村克也監督(70)の前で、ルーキー一番乗りの勝利を飾った。これでチームも94年以来12年ぶりとなる開幕2連勝、今年のハムはやっぱりひと味違うゾ。

 初のお立ち台で武田勝は恩師への思いを伝えた。「(野村監督に)感謝しています。この世界で早く恩返しができて良かった」。緊張のなか、ゆっくりと言葉を選んだ。かつての秘蔵っ子に煮え湯をのまされた形の楽天野村監督だが、「良い投手だね。素晴らしい投手だよ」。非のつけどころのない投球をみせつけられては、ただ褒めるしかなかった。

 恩返しの機会はあまりに早かった。1点リードで迎えた3回2死二、三塁のピンチで登場。左腕だけに一塁側の楽天ベンチが視界に入った。「見ると考え込んでしまいそうだったので」と、あえて恩師に目をやることはなかった。だが、投球では恩師から授けられたチェンジアップで楽天草野を三ゴロに仕留めた。最速137キロの直球と打者の外角へ流れる変化球で打ち取った。3回1/3をわずか1安打、無失点に抑え試合の流れを引き寄せた。

 ヒルマン監督も「いくら情報が楽天にあるといっても緩急をつけて投げれば打たれないことを証明した」と絶賛した。

 常に上を目指す。名古屋市の出身。地元の強豪校の誘いを断り1人、関東一高へ越境入学した。高校1年の夏に甲子園を経験したが、その後は伸び悩んだ。立正大からシダックスに入社。「空白の10年間ですよね。入社して3年目、一気に変わったんです。野村監督に出会って」。オーソドックスな上手投げから変則の横手投げに変更。「130キロでも三振は取れる」とチェンジアップを伝授されるなど、どんどん進化していった。

 「野球を辞めた後はシダックスのカラオケの店長とか営業とか、サラリーマン生活を送ろう」という人生設計が変わった。チームに野間口(現巨人)も入団。ライバルの登場で熱くなった。2人で深夜、だれもいない東京ドームにドライブに行った。「絶対、都市対抗で勝つ。そしてプロにいく」と叫んだ。そのライバルとの別れも大きな転機になった。

 04年のドラフト、自由獲得枠で野間口が巨人入りを表明した。武田勝の獲得を目指す球団もあったが、2投手を出せないというチーム事情から断念。野村監督から「お前はプロに出せない」と、わびられた。「逆にうれしかった。吹っ切れた。この人のために頑張ろうと思った」と振り返る。翌年、都市対抗と日本選手権に出場しプロ入りを勝ち取った。2月のキャンプ前には電話をもらった。前日25日、あいさつに出向くと「おれが出て行ったあと、こぞって選手は茶髪にする。武田は違う。あれを見ろ」と「野村チルドレン」の優等生をたたえた。

 2軍暮らしを覚悟して1月に練習場に近い千葉・船橋にマンションを借りた。ボロボロの国産車から急ぎBMWに買い替え、通勤も準備万端だった。そんな心配も1軍合流で予定が崩れるうれしい誤算もあった。12年ぶりとなる開幕2連勝に貢献し、チームに勢いをつけた武田勝は「今日は千葉に帰ってゆっくりします」と、ようやくホッとした表情を見せた。【上野耕太郎】

[2006年3月27日7時54分 紙面から]

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