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日本ハム八木が導いた史上初3継投無安打

延長10回まで無安打無失点の好投を見せる日本ハム八木
延長10回まで無安打無失点の好投を見せる日本ハム八木

<日本ハム1-0ソフトバンク>◇15日◇福岡ヤフードーム

 日本ハムがプロ野球史上初の3投手によるノーヒットノーランを達成した。15日のソフトバンク戦で先発した希望枠ルーキー八木智哉投手(22=創価大)が、延長10回まで150球の熱投。2番手武田久(27)3番手マイケル(29)の両投手も1回ずつを無安打で抑え、延長12回に得点して1-0で制した。連敗も5で止めた。八木は打線の援護に恵まれず、延長戦での無安打無得点達成なら73年の江夏豊(阪神)以来33年ぶり2人目となる快挙を逃したが、先輩たちの好投で球史に名を残した。なお、継投による無安打無得点試合は1941年阪急以来、65年ぶり3度目となった。

 「勝ち投手で終わりたかったんですが。残念だけど、チームが勝って良かった」。3人継投による史上初のノーヒットノーラン達成という、でっかい勲章が転がり込んできた。個人記録を逃したが、ルーキー八木は敵地のお立ち台で晴れやかな表情を見せた。

 「逃げるな」とツバに書かれた帽子が右側に曲がっていた。なりふり構わぬ150球の熱投。10回を投げ切り、ベンチに戻るとヒルマン監督から無安打のまま降板を告げられた。ルーキーでは87年の近藤(中日)以来19年ぶり7人目の快挙を逃した。しかも延長戦での達成なら73年の江夏(阪神)以来、33年ぶり2人目の大記録が幻となった。それでも汗をぬぐいながら小さくうなずき、死闘の行方を見守った。

 初回は制球に苦しんだ。表情が変わったのは2回だった。2死で新人松田を迎えた。八木が「彼が僕ら同期の中で最高の打者」と評する大学時代からのライバル。フォームが大胆になり、強心臓が戻った。シンカーで3球三振に仕留め、波に乗った。

 八木「自分から始まった連敗だったからとにかく今日勝つことだけを考えていた。(ノーヒットは)知っていたけれど、そんなことよりも1人1人のバッターを確実に抑えることしか頭にはありませんでした」

 八木の無念の降板を、救援陣がつなぐ。11回は武田久が3者凡退。そして1点を挙げた12回は守護神マイケルで締めた。

 武田久「ノーヒットは分かっていた。勝ちは自分についたが八木の好投に尽きる。八木さまさまです」

 マイケル「八木、武田久に続こうと思った。でもどんな投球をしても2人にかなわないけどね」

 ウイニングボールは八木の手に渡った。ヒルマン監督も「八木の投球は言葉に言い表せない。交代は迷ったが、代え時と思い決断した。あとの2人もよくやってくれた」と絶賛した。

 個人としての大記録は逃したが、八木には大きな収穫となった。高校入学と同時に投手転向を直訴した理由は簡単だった。「一番目立つ場所だから」。今でも人が集まる場所が好きだ。東京の渋谷や新宿など、人が多いほどなぜか“安心”する。この日のヤフードームにも2万7743人詰め掛けた。ソフトバンクファンが大多数を占めたがその声に奮い立った。

 7日の西武戦でKOされた。松坂に圧倒された。高めに浮かないようにフォームを矯正、コンパクトにしてこの一戦に挑んだ。大学時代からのライバル・オリックス平野佳の活躍も刺激になっている。「松坂さんの投球はいい刺激になりました。あと平野は友達ですしライバル。2人で成長していけばいいなって」。新人左腕の快投でチームの連敗も5でストップ。ルーキーの気迫がチームに勢いをつけた。【上野耕太郎】

 ▼日本ハムは八木―武田久―マイケルの継投でノーヒットノーランを達成。継投によるノーヒットノーランは1リーグ時代の41年6月22日に黒鷲の中河―石原が名古屋戦、同年8月2日に阪急の江田―森が名古屋戦で記録したのに次いで65年ぶり史上3度目。継投による延長戦でのノーヒットノーラン、3人の継投によるノーヒットノーランはともに初めてだ。また、試合開始から無安打に抑えたイニングは73年8月30日江夏(阪神)が中日戦で記録した11回が最長で、12回まで無安打に抑えたケースは初めて。

 ▼八木が延長10回まで無安打に抑えながら降板した。延長戦でノーヒットノーランを達成した投手は過去に73年8月30日江夏(阪神=延長11回)だけで、延長戦でノーヒットノーランを逃したのは05年西口(西武)以来10人目。過去9人は延長に入ってから初安打を許しており、9回以上投げて無安打のまま途中降板は初。延長で逃した10人のうち新人が43年真田(朝日)54年宅和(南海)八木。新人のノーヒットノーランは36年沢村(巨人)から87年近藤(中日)まで過去6人が記録。

[2006年4月16日8時20分 紙面から]

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