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日本ハム・ダルビッシュが三振で世界救う

3年目を迎え、さらなる飛躍を誓った日本ハム・ダルビッシュ(写真は合成)
3年目を迎え、さらなる飛躍を誓った日本ハム・ダルビッシュ(写真は合成)

 三振を取るたびに世界が救われる。日本ハム・ダルビッシュ有投手(20)が今季の成績に応じた「水」の支援を検討していることが12月31日、明らかになった。三振を1つ奪うごとに2ケース(500ミリリットル24本×2)ずつ寄贈する考えがあることを明かした。アジア、アフリカを中心とした水不足は、イラン人の父を持つダルビッシュにとって人ごとではない。球界でも異例の試みで国際問題解消に一役買う。

 07年、ダルビッシュが世界へ照準を定めた。といっても、メジャー移籍や08年北京五輪、WBCではない。20歳を迎えた“大人”の視線の先に映ったのは、海の向こうで貧困にあえぐ人の姿。上下水道の環境が整った日本では、あまり感じることがない問題だった。

 ダルビッシュ「貧しい国は、日本の100円が(貨幣価値として)けっこうあるじゃないですか。寄付することで救われる人がいるなら、やりたいと思う。食料…水とか。そういう国(開発途上国)は、すごく水が汚いですよね。三振1個につき1ケースや2ケース(贈りたい)ですね。

 水不足に注目した。アジア、アフリカを中心に世界30カ国以上が被害に苦しんでいる。まだ川、池、むき出しの井戸から水をくみ上げて生活している国々も多く、汚れた水が原因で毎年500万人以上が死亡している事実もある。ダルビッシュのルーツともいえる、父ファルサさんの母国イランも例外ではない。北東部は干ばつや井戸が枯れた影響から「水難民」も増加している。

 こうした状況に黙っていられなかった。テレビなどの報道で目の当たりにするたび心が痛んだ。しかし、成績が伴わなければ慈善活動は批判されかねない。2年目の昨季はチーム最多の12勝(5敗)。プレーオフ、日本シリーズでも好投した。日本一にも輝き、機は熟したと判断した。

 ソフトバンク和田から発想を受けた。和田は05年からプレーオフを含む公式戦で投球数1球につきワクチン10本(勝ち試合は20本)を寄付してきた。ダルビッシュは05年オフにイラン野球連盟にバットなど野球用具を寄付。イラン南東部で起こった大地震の被災者に義援金100万円を贈ったこともある。それでも和田の姿勢には「あれ、いいですね。よく考えましたね」と一目を置いた。

 三振を取るたびに渇きに苦しむ人々ののどが潤される。現時点では構想段階だが、三振1個につき500ミリリットルのペットボトル24本入りケース2箱を計画している。昨季奪った115個の三振で換算すると230箱、500ミリリットルペットボトル5520本を寄贈することになる。

 どのような方法で、どの国に贈るかなど具体策は、球団や所属事務所などと相談することになる。さまざまな調整が必要なことから、今季から実行できるかどうかは分からない。ただ、球場外の活動に目を配れるようになったのは大人として自覚が芽生えた証拠。ダルビッシュが投じる1球が世界を少しずつ救っていくかもしれない。【北尾洋徳】

 ◆世界の水問題 非政府組織(NGO)の「世界水会議(WWC)」によるとアジア、アフリカなど31カ国が水不足に悩まされている。開発途上国の平均的な人が1日に飲み水や家事に使う水の量は、先進国でトイレの使用後に水を1回流す量と同じ。途上国の病気の80%が汚れた水が原因で、年間500万~1000万人が死亡している。また水にかかわる病気で子どもたちが8秒に1人ずつこの世を去っている現実がある。地球温暖化などの影響も深刻で、洪水や干ばつなどの被害は広がる一方。20年後には45カ国以上での水不足が予想される。

 ○プロ野球選手が行っている主な慈善事業

 ◆ソフトバンク和田 05年から公式戦(プレーオフを含む)の投球数1球につきワクチン10本を寄贈。勝利投手のときは2倍、完投で3倍、完封で4倍とし、1年の総本数の相当額をNPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」を通じて贈っている。昨季は5万4810本、2年間で計10万580本に上る。

 ◆阪神赤星 03年から盗塁の成功数に応じて福祉施設に車いすを贈呈している。今季は35台、4年間で計232台を贈った。また車いすで観戦可能なバリアフリーの客席設置も球団に要求している。

 ◆オリックス清原 巨人時代の04年オフに「生涯社会貢献」を目的とする「清原基金」を設立した。新潟県中越地震で被害を受けた新潟県に義援金1000万円、県内595小学校にバット、グラブを寄付した。また翌年の東京ドームでの主催全63試合に「清原シート」を15席設置して、野球少年を無料招待していた。

[2007年1月1日9時32分 紙面から]

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