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カ・イ・カ・ンだなあ/ひちょり独占手記

ビールをかけられる日本ハム森本(撮影・為田聡史)
ビールをかけられる日本ハム森本(撮影・為田聡史)

 日本ハムの打の主役で昨季引退した新庄氏から背番号1を受け継いだ森本稀哲外野手(26)は、優勝手記で苦難の道のりを語った。

 カ・イ・カ・ンだなあ-。下馬評を覆すのはいい。開幕前、順位を下位で予想して欲しいって思っていた。「やっぱり日本ハムは強い」って言われるより「勝てないって」って言われた方が今、「ほ~らね!」って言えるから。

 昨年日本一になって、背番号1としても注目されて、僕にはきついシーズンだった。一番、最初の勝てない時期が苦しかった。空気が違う、雰囲気が違うじゃなくて、チームが変わったから。相手も全然、違う。昨年優勝したのに最下位にみたいな、感じで。うまくいかないし、かみ合わないこともあった。キャンプ、オープン戦を通じて「去年の覇者がどうなるか…」「戦力ダウンで…」とか言われて。低い評価の人たちに対し絶対にやってやろうって、思ってきた。交流戦でチョコチョコとうまくいくようになって。枯れていた花に水が垂らされたように、生き返ることができた。

 背番号が変わって、今年は使わなくていい気を使った。ツーさん(新庄氏の愛称)の存在が大きすぎて…。背伸びしすぎず、でも多少は背伸びした気分で堂々とやった。でもプレッシャーでシーズンの最初は結果も出ない。成績が残せたから良かったけれど、必死だった。「ツーさんと照らし合わせないでくれ」って思った時もあった。キャンプでは上半身裸になった。あんなことでいいなら全然、やっていきたい。でも日本ハムの「1番」は価値が高い。価値を落としたくなかった。オールスターにファン投票で選ばれなかった時はショックだった。監督推薦じゃなくファン投票で出たかった。まだまだって、こと。少しずつ「普通だね」「格好いいね」って言われればいい。だから今年1年は大切だった。

 一番苦しかったのは8月。中盤から後半にかけて、体のどこかがいつも痛かった。キャンプから右ひじがずっと痛かったし、ちょっとぎっくり腰にもなった。ハムストリングとかも…。痛がったり、口に出すことはできない。痛かったら誰かと代わればいい。出たい選手はいっぱいいる。その姿をチームメートも見ているし、監督にも気を使わせたくない。でも実は、本当にきつい時に監督に「今日はスチール、きついです」と伝えたことも、1、2回はあった。でも試合に出ることが楽しかったな。

 今年は、守備の時に逆に攻めてる意識が強かった。日本ハムの野球をやっているなって。感覚はおかしいけれど、守備が「攻撃」で、攻撃は「ちょっと攻撃」みたいな(笑い)。簡単に先の塁へ行かせたくない、簡単に落としたくない気持ちだけ。ツーさんからいろいろ盗みながらやって今年、意識も変わった。

 野球は1人でやるもんじゃない。9人で、みんなでやるもの。だいたい戦力がそろってないチームは力が出せない。シーズン前の評価が低いってことは、戦力がないっていうこと。でも今年は今までにないチームのような気がしていた。得点が(12球団で)最下位でも、勝ちゃあいい、とにかく勝ちゃあいい。ピッチャー、バッターが良かれとかいろいろあるけど勝ちゃあいい。運もある。みんな分かるでしょ、うちのチームの運の強さは。不思議なチーム。ラッキーチームだから、日本ハムは。

 森本稀哲

[2007年9月30日11時21分 紙面から]

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