数百万円弁慶と9万円黒ガウン
<決戦10・11内藤vs大毅>
ド派手演出と質素貫徹。内藤-大毅のWBC世界フライ級タイトルマッチは、入場から個性の違いが鮮明になる。まず青コーナーから挑戦者の大毅が弁慶姿で入場。続いて王者の内藤は赤コーナーから黒いガウンを羽織って登場する。
大毅は弁慶風のずきん、数珠を着けて、五条大橋の花道を歩く。昨年2月のプロデビュー以来の演出で、当時数百万円かけて製作した橋は、世界戦用にスケールアップさせる。実は派手な入場は大毅にとって大切な儀式。「タオルを投げるか、レフェリーが止めるまで倒れたらあかん。立ったまま死んだ弁慶のように戦え」という父史郎氏の言葉を今1度胸に刻む。
内藤の入場は日本王者時代と変わらない。使い慣れた9万円の黒いガウン姿で、お気に入りの「ロマンティックが止まらない」(C-C-B)の曲で登場する。この地味な入場は金欠や節約のためではない。黒のガウンは3年前にアルバイトをしていた会社の同僚から日本王座獲得を記念して贈られたもの。「みんながカンパで出し合ってくれたもの。大きな力になってます」。下積み時代を支えてくれた仲間への感謝の思いを力に変える。
勝てば大毅はいつも通りリング上で熱唱する。「ピアノの弾き語りをしたいな」。一方の内藤は初防衛に成功しても自然体を貫く。
「向こう(大毅)はでっかいパフォーマンスをすればいい。自分はいつも通り」。派手と地味、静と動―。だが、入場にはこの一戦にかける2人それぞれの決意が、込められている。【バトル取材班】
[2007年10月6日 紙面から]
