独特変則リズムがもろ刃の剣か
<決戦10・11内藤vs大毅>
WBC世界フライ級王者の内藤大助は、どこが強いのか。亀田大毅はどこに勝機があるのか。挑戦者とは対照的に、テレビの地上波で生中継されたことのない、ベールに包まれた王者のボクシングを、対戦者らの証言から徹底分析。注目の一戦を占ってみた。
内藤は3日に「見えないパンチ」を出すと明言した。その魔法のパンチは現実にあった。02年12月に判定負けした菊井徹平(花形)が証言する。「手と足のフェイントを巧みに使い、ワンテンポ遅れてくる左右フックが見えなかった」。見えないパンチだけでなく、「タイミングが取りづらく、自分から打っていけなかった」とも加えた。
昨年2月に判定負けした中広大悟(広島三栄)は「内藤が消える瞬間」があると話す。内藤が時にかがむような低い防御を取るため、視界から消えてパンチも当てづらくなったという。「上下左右の不規則な動きは他の選手にはなかった」。内藤の強さは、変幻自在に動く、独特の変則リズムが根底にあるようだ。
相手への対応力も高い。昨年6月、自らの東洋太平洋王座を懸けて、当時日本王者の内藤と対戦し、6回TKO負けした小松則幸(グリーンツダ)は「攻撃パターンがすべてよまれていた」と話す。研究熱心で分析能力にも優れる。菊井も「得意の左を当てられず、逆に弱点を突かれた」と内藤の頭脳に脱帽した。
キャリアの浅い大毅が、豊富な実戦で身につけた王者の独特のリズムを崩すのは至難の業だ。しかし、変則スタイルゆえの弱点もある。昨年12月に判定負けした吉山博司(ヨシヤマ)が明かす。「接近戦でもガードは低いので、そこを狙うべき。あとはまぶたがすぐ切れる。自分の時も1回から出血した」。大毅が自慢の突進力で王者のリズムを崩し、接近戦に持ち込めば、勝機もありそうだ。【バトル取材班】
[2007年10月7日 紙面から]
