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道営コスモバルク制覇/シンガポールG1

1着でゴールに飛び込んだコスモバルクの五十嵐騎手は歓喜のガッツポーズ
1着でゴールに飛び込んだコスモバルクの五十嵐騎手は歓喜のガッツポーズ

<シンガポール航空国際カップ>◇14日◇国際G1◇芝2000メートル=クランジ競馬場◇3歳上◇出走13頭

 【シンガポール=村上秀明】ホッカイドウ競馬のコスモバルク(牡5、田部)が、悲願のG1制覇を、海外で成し遂げた。逃げたヴルームヴルーム(オーストラリア)の2番手から直線で力強く抜け出した。タイムは2分6秒5。自身、04年9月19日以来1年8カ月ぶりの勝利を、世界7カ国の馬が集まった国際舞台で、地方馬として史上初の海外G1制覇で飾った。昨年5月の香港・チャンピオンズマイル(10着)に続く2度目の海外遠征を敢行し、国内外通算10度目のG1挑戦でビッグタイトルをつかんだ。

 北の怪物が、ついにやった。ゴールの瞬間、コスモバルクの五十嵐冬樹騎手(30)が、右手をクランジの夜空に高々と掲げた。涙目で引き揚げると「フォー」と何度も叫び、大観衆に応えた。目を潤ませた田部和則師(59)は「チームバルクの執念です。まだ終わっていないぞという気持ちはあった」と胸を張った。

 完勝だった。手綱をがっちり押さえ2番手を追走。直線に入って早々にヴルームヴルームをかわし、先頭に立った。あとは約400メートルの直線。前には栄光のゴールだけ。「最後は頭が真っ白になった。最高です」と五十嵐騎手。バルクはあん上のムチに応え、2着キングアンドキング(シンガポール)に1馬身3/4差をつけ、真っ先にゴールに飛び込んだ。

 スタート直後、折り合いを欠くシーンもあったが、向正面から落ち着きを取り戻した。「最後は手応え十分だった」と五十嵐は振り返る。朝に激しいスコールがあり、日本表記ではやや重の馬場状態。苦手とされていた状況を克服しての海外G1制覇だった。

 昨年5月の香港G1チャンピオンズマイル(10着)に続く2度目の海外遠征。3歳時の皐月賞2着から、海外も含め通算10戦目のG1挑戦だ。国内では地方馬ゆえに、中央ではステップレースで上位入賞が義務付けられるなど、G1挑戦には厳しい制約が設けられている。今回も天皇賞(春)出走を逃しての挑戦だった。苦境を克服しての快挙に、岡田美佐子オーナーも「ここまで期待していただいて、ようやく応えることができました」と笑顔で語った。

 海外G1ながら、過去の実績から主催者が数字設定するレーティングは117で、121のヴァリクシール(UAE)に次ぐ2番手評価だった。14日付の地元のタブロイド紙「ザ・ニュー・ペーパー」では、3人の評論家のうち2人が1番手に評価した。残り1人も2番手に挙げ「力を出し切れば勝つのはこの馬」と紹介していた。実際、レースでも3番人気に推された。

 たぐいまれなる精神力があったからこそだ。シンガポールに到着した3日早朝、空港で馬運車まで運ばれている途中、コンテナから顔を出していたバルクの目前で大型機が離陸した。それでも平然としていた。「普通はびっくりするのに、こいつすごいと思った」と榎並調教厩務員。初めて訪れる地でも、馬体重は昨年有馬記念(506キロ)とほぼ変わらない504キロで臨んだ。中央挑戦では北海道、本州を何度も往復。周囲の想像以上のタフさを今回も発揮した。

 次走は、国内の宝塚記念(G1、6月25日、京都)を目指す。昨年の有馬記念で接戦を繰り広げた中央の強豪も出走してくる。ディープインパクトも参戦予定だ。最高の舞台に胸を張って臨む。「これでファンが復帰してくれるかな。また中央に行きますよ」と田部師。バルクの新伝説が、ここから新たに始まる。

[2006年5月15日9時3分 紙面から]


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