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夏競馬を語る 大久保正陽元調教師

 札幌競馬が3週目を迎えますが、函館競馬場で調整してからレース直前に輸送してくる馬がいます。札幌競馬場の馬房数が決まっていて、滞在できない馬が、函館から5、6時間ほどかけて出走してきます。

 本当は滞在がいいに越したことはありませんが、輸送でカイバ食いが落ちて体が減る馬もいれば、逆に輸送中にカイバ食いが良くなるタイプもいます。函館は脚元の負担が軽いウッドチップコースがあり、馬に最適な気候でもあり、輸送を差し引いても函館で調教したいと考えている調教師は多いと思います。

 調教も輸送を考慮して、軽めにしたり、1日早く追い切ったりトレーニング方法を工夫し、レース週の直前輸送をこなせるようにしています。今はすごく教育されていて、特殊な馬以外は大きな問題はないようです。最近は高速道路の発達で時間も短縮できているのは大きいと思います。

 かつて馬運車が主流になる昭和40年代以前は、貨車輸送でした。札幌-函館間でも、桑園駅で積んでから途中で止まる地点が多く、2泊3日で移動したときもありました。4頭積みで箱(コンテナ)に乗せていましたが、ほかにも競走馬が多いときは、途中の地点で水が出る蛇口の取り合いもありました。ミツバチの巣箱の荷物があったときは、なるべく馬から離してもらうようにお願いしたこともありました。

 北海道内ではありませんが、馬にとって津軽海峡を渡る船中にいるとき、波のローリングは良くないです。波が高いときは積まないケースもありますし、台風に影響されるケースもありますので、その時期は早めに移動していました。輸送で1頭だと寂しがる馬も多いです。池江さんのディープインパクトも海外に帯同馬を連れて行ったように、いるといないでは精神的に大きく違うはずです。輸送も競馬の大きな要素といえます。(元JRA調教師)

 ◆大久保正陽(おおくぼ・まさあき) 1935年(昭和10)8月23日、兵庫県生まれ。騎手、調教助手を経て71年にJRA調教師免許を取得。73年に厩舎を開業し、06年2月28日に定年引退するまで、JRAで7006戦596勝。重賞50勝。94年に牡馬クラシック3冠馬ナリタブライアンを育てる。ほかエリモジョージ(76年天皇賞・春)メジロパーマー(92年宝塚記念、有馬記念)ナリタタイシン(93年皐月賞)シルクジャスティス(97年有馬記念)など活躍馬多数。

[2006年8月25日9時28分 紙面から]


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