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夏競馬を語る 大久保正陽元調教師

 この時期になると、競馬場の厩舎内をジャガイモを積んだ小型トラックがよく走っています。函館でもそうでしたが、開催も終盤に入ってきましたから、栗東や美浦への帰り支度が始まります。家族などへの土産にジャガイモやタマネギを買って帰るんですね。

 北海道へは、早い人なら5月半ばから来て滞在します。最後までいれば、4カ月半にもなります。京都や阪神でレースを使うときはいつもと変わらず栗東にいますし、今は小倉や新潟、福島に行く場合でも、レース前日に競馬場に移動することがほとんどです。地元で競馬をしているような気持ちになるのが北海道での競馬です。食べ物など、詳しい人が多いですよ。

 今は栗東からでも馬運車に乗って1日で北海道に移動して来られますが、貨車積みのころは大変でした。私が昭和29年に騎手候補生で初めて北海道を訪れたときは、移動だけでもひと苦労でした。早いときで5日、長ければ10日もかかったものです。当時はレースの1カ月前には競馬場に入るようにしていましたから、なおのことです。今は育成場が充実し、北海道の牧場などから直接競馬場に入って10日ほどでレースにも出走できます。輸送は本当に便利になりました。

 涼しくなりましたが、栗東に戻るとまだ暑さが残っています。北海道は気候や馬場もあって人気があります。馬房を取るのは大変でしたが、現役のころの私は6頭以上は確保できるようにして、北海道シリーズに出走させてきました。ナリタブライアン、ナリタタイシン、メジロパーマーが函館や札幌でデビューし、牝馬でジャパンカップにも出走したヤマノシラギクも札幌デビューです。思い起こせば、「地元」から上級クラスの馬を育てることができました。(元JRA調教師)

 ◆大久保正陽(おおくぼ・まさあき) 1935年(昭和10)8月23日、兵庫県生まれ。騎手、調教助手を経て71年にJRA調教師免許を取得。73年に厩舎を開業し、06年2月28日に定年引退するまで、JRAで7006戦596勝。重賞50勝。94年に牡馬クラシック3冠馬ナリタブライアンを育てる。ほかエリモジョージ(76年天皇賞・春)メジロパーマー(92年宝塚記念、有馬記念)ナリタタイシン(93年皐月賞)シルクジャスティス(97年有馬記念)など活躍馬多数。

[2006年9月22日9時37分 紙面から]


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