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みゆき、千春、ドリカム…大橋純子が歌う

故郷夕張への思い、今回のアルバムへの思いを語る大橋純子
故郷夕張への思い、今回のアルバムへの思いを語る大橋純子

 大橋純子(55)が故郷の再生を歌で手助けする。3月に財政再建団体となり、今後18年かけて353億円の赤字を解消していく夕張市。そんな郷土に元気を出してもらおうと、夕張応援チャリティー・カバーアルバム「Terra」をこのほど発売した。企画に賛同した中島みゆき、松山千春ら道産子アーティストの曲をアレンジして熱唱。デビュー33年、初の邦楽カバーでもある。

 大橋が北のアーティストたちのヒット曲を歌う。「時代」「季節の中で」など、だれもが口ずさめる曲ばかりだ。「ふるさとの人たちを元気づけるために私ができるのは歌うこと。夕張で育った1人として協力したい」。そんな思いをアルバムに込めた。

 昨冬から、何かできないかなと思っていた。今年3月25日に構想は急加速した。同市内で行われた「夕張応援コンサート」に細川たかし、安倍なつみと参加し、このコンサートを企画した松山千春の言葉にピンときた。「北海道ってアーティストがいっぱいいるよな。サブちゃん、安全地帯、中島みゆき…。いろんな名曲もあるよな」。楽屋でそんな話を聞くうちに心が動いた。「私、みんなの持ち歌を歌ってアルバムにしたい」。その場で松山に了承をもらう。ほかのアーティストたちからも次々と快諾を得た。

 人の歌だけに大橋もアレンジにこだわった。特に印象に残るのは「地上の星」。フラメンコのイメージで情熱的な編曲にしたかった。偶然にも北海道出身のボサノバ系のギタリスト宮野弘紀、スパニッシュ・ギターを弾く伊藤芳輝と助っ人がそろった。3人でひざを突き合わせて話し合い、持てる技術をぶつけて希望通りの楽曲に仕上げた。「デビューして33年、こんなにフルスピードでアルバムを作ったのは初めて。邦楽のカバーアルバムも初めてだけど、充実していた」。ひとえに故郷を支援したいとの思いからだった。

 市が「倒産」するなんて大橋自身、信じられなかった。夕張には親類が2人いる。夕張北高時代の同級生からは「仕事がないため、住み慣れた故郷を出ざるを得ない」という切ない話を聞いた。6月、北海道のテレビ局の夕張をテーマにしたドキュメンタリー番組でナレーションを請け負った。「私は現実を受け止める。それを伝えることで皆も動いてくれれば」と考えたからだ。

 大衆食堂の看板娘として、夕張の繁栄も衰退も体験している。石炭で栄え、最盛期の1960年(昭和35)には人口が11万7000人あまりいた。「繁華街は今の渋谷みたいに人があふれていた。それが炭坑の閉山とともに寂れていった。炭坑で働く人と家族が去ると、商売していた人も移る。区画がごっそり消える」(大橋)。

 今や人口約1万2500人。それでも夕張に行くと「純子ちゃん、お帰り」と温かく迎えてくれる。そんな北の大地の復興を信じ、タイトルは「Terra(テラ)」と名付けた。ラテン語で大地の意味。アルバムの売り上げの一部は夕張にチャリティーとして寄付する。自分のできる範囲で再生に貢献する。故郷へのせめてもの恩返しでもある。

 ◆大橋純子(おおはし・じゅんこ) 1952年(昭和27)4月26日、夕張生まれ。藤女短大卒。74年のデビュー後、大橋純子と美乃家セントラル・ステイションでバンド活動。77年「シンプル・ラブ」がヒット。「たそがれマイ・ラブ」で78年レコード大賞金賞、「シルエット・ロマンス」で82年日本レコード大賞最優秀歌唱賞。

[2007年7月24日9時42分 紙面から]

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