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大黒摩季、売却決まった厚生年金会館存続願う

- 一般競争入札で売却される可能性がある北海道厚生年金会館
文化の殿堂を守れ-。国が売却を決めた札幌・北海道厚生年金会館を存続させようと、音楽関係者が立ち上がった。すでに3月からチャリティー公演が実施されており、明日18日、来月11日にも同様の公演を開催と、存続運動が活発になっている。多くのアーティストの足跡が残る同会館の舞台について、北海道出身の歌手、大黒摩季(36)がその思い出を語った。
厚生年金会館は私にとって小さなころから「スターが集う場所」でした。今は「スター」という言葉自体が死語のような気がしますが。生まれて初めて見たコンサートのクラシックピアノ界のスター、ヴァン・クライバーンや札響、松山千春さん、(松田)聖子ちゃん、ジャニーズ、美空ひばりさんなど。私が上京するまでドームもアリーナも無い時代に、たくさんのスターを生で見られるのは、いつも厚生年金会館でした。
音楽で生きていくことを幼少のころより決めていた私は、客席に着くたび、いつかあの舞台に立つんだと熱いまなざしで見ていました。たった1人で上京し、ゼロから始めて10年後、その舞台に初めて立った時、あこがれの裏口から楽屋に入った時の喜びと感動は一生忘れないことでしょう。それはドラマチックで、夢のような思い、そして生まれて初めて自分を認められた瞬間でした。
アリーナをやろうと、スタジアムで走ろうと、子どものころに夢見た地は変わらず厚生年金会館だったのです。去年のツアーは、その初心からファイナルを厚生年金にしました。私にとって夢見た場所、夢をかなえた場所、また新たな夢を誓った場所は勝手な願いですが、いつまでも変わらずあって欲しいのです。
芸術や文化などは生きることに直接かかわらないので時代や社会の変化とともに、いつも1番に削られてしまいがちです。しかし芸術や文化は人の心を癒やし、力づけ夢を見せられる。新たな時代へのきっかけや原動力になると思います。膨れ上がった物質社会において削るもの、残すべきものを、いま1度考える時ではないでしょうか。
札幌市民会館も無くなる今、厚生年金会館が北海道の人たちに振りまく文化と芸術、夢の種を絶やしてはいけないと心から願います。5月のコンサートでは来られる皆さん、スタッフ、すべての心が一つになり、社会や時代、さまざまな事情を超えたPureな気持ちになれるよう、今、私にあるありったけのPeaceを込めて歌いたいと思います。何かを動かす原動力はいつも“たった一つの願い”だと思うので-。
◆厚生年金会館問題とは 国は昨春、年金保険料の無駄遣いが批判された社会保険庁改革の一環として、年金資金で整備された全国の厚生年金会館などの施設を5年以内に売却、廃止する方針を打ち出した。その中に北海道厚生年金会館も含まれていた。ただ、老朽化が激しい札幌市民会館の取り壊しが決定するなど、道内に文化施設が少ないことから、売却の条件に大ホールの存続が付け加えられた。
しかし、同会館は04年度に収入14億円、経常利益2000万円をあげているが、約1億円とみられる固定資産税が免除されており、実質は赤字。財政難の同会館を札幌市や北海道だけで買い取るのは難しく、入札業者によっては存続も危うい状況となる。そのため、昨年7月には文化団体、イベント会社などが参加し「存続を願う会」が発足。チャリティー公演、募金活動などの存続運動を行ってきた。
◆北海道厚生年金会館 72年札幌五輪の国際オリンピック委員会総会を行うため、71年9月に完成した。道内最大級の2300の客席数を誇るホールと、120室を保有するホテルからなる。年間87万人が来場し、現在は政府の特殊法人「厚生年金事業振興団」が所有している。大ホールはオーケストラ・ピットを備え、コンサートだけでなくオペラやバレエにも活用。これまで舞台に立ったのは6000組以上。
[2006年4月17日9時16分 紙面から]
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